今後の情報処理教育 2年前よりシミュレーションの授業はメインフレームによるFORTRAN教育から UNIXワークステーションを利用しての教育に移行した。 これはUNIXシステム のほうが教育的にメリットが多いと考えたからである。また、学生にとってメ インフレームよりUNIXワークステーションを利用する機会が増えるであろうと の考えからである。ひょっとすると多くの学生にとってメインフレームを扱う う機会は卒業後ないかもしれない。 もちろん著者(宮澤)の独断で使用計算機 を変更するには、情報工学科以外の学科の学生の教育に関しても、多くの大学 で理由はともかくUNIXワークステーションを利用しての教育にすでに移行して いるという客観的な事実があるからでもある。 学生にとって、UNIXシステム は初めてであるから ファイル構造、シェル言語、電子メールの使用法等イン ロダクションに時間をとられた。また、ほとんどの学生が前期に勉強した FORTRAN をほとんど忘れていることから、その復習に多くの時間をとられた。 幸いなことに、1995年度から 1年次に情報処理入門の演習が必修となり、電子 メールの使用法等は習得してくるので、シミュレーションの授業も本来の姿 に戻るものと思われる。 一方、工学部における計算機演習も1996年度 からは、情報処理センター計算機の更新に伴い、現在のメインフレームを主 に用いた演習からUNIXシステムをホストにX 端末を用いた教育に衣替えするも のと思われる。現在はシミュレーションの授業でUNIXシステムを用いていると は言っても、PCをdumb端末としての使用のため、グラフィカルなアプリケーショ ンを使用しての教育はできない。その点X 端末が使用可能になるため、計算機 演習は近代的なものに変更されよう。 最後に工学部の各学科学生の情報処理教育の将来について考えてみたい。従 来情報処理教育は FORTRAN教育に終始してきた。しかし、計算機の利用は数値 計算だけではない。いや日々の計算機利用の大半は情報処理ツールとしての利 用である。1995年度からはじまる1年次を対象とした情報処理入門はそのため のスキルの基礎を教えることにあるものと思われる。しかしそこで予定されて いる演習内容は、数年後には 高校、中学で教えられるものと著者は考えてい る。今は、ゼロから大学で教えざるを得ない過渡期であろう。しかし従来のよ うなFORTRAN教育だけで不十分であることは確かであると思う。もちろんどの ような教育がベストかは学科毎で異なるものと思う。十分な議論が望まれると ころであろう。